道の駅 明治の森・黒磯
道の駅明治の森・黒磯が位置する青木地区は明治時代にドイツ公使などを務めた青木周造により開拓事業が行われた。隣接する旧青木家那須別邸は明治22年に建設されたドイツの建築様式が多用された建物であり、日本では珍しい鱗壁(うろこ)や蔦壁(つた)により外壁がつくられ、前面と側面をベランダがめぐる繊細な白い柱が特徴的な建物である。当地からは美しい稜線の那須連山が眺められ、新緑から雪化粧の姿まで四季折々の様子を見せる。那須連山の麓、那須野が原で作られる農産物や乳製品、そして魅力的な人達の集う場として、道の駅明治の森・黒磯は計画された。

那須塩原の「食」「農」「観光」が集う場として、地域のシンボル的な拠点となるよう、那須五峰の山並みをモチーフとした大屋根を設けた。山々に抱擁された那須野が原の様々な魅力が大屋根の下に集い、地域の新たな発信拠点となる。皆々を招き入れるように、大きく開かれた庇は白い柱によって支えられ、屋外スペースの滞留を生むと共に、内部へと影をつくり夏の日差しから農産物を守る


施設内外には隣接する旧青木家那須別邸の色彩や意匠をちりばめた。地域の皆に慣れ親しんだ別邸は今もなお、明治の魅力的な香りをこの地に伝える。困難な開拓の歴史を知る別邸を見つめ、140年の先、緑豊かな生産地となったこの地を心に刻む。

内部の「明治の森マーケット」には外部庇と連続するように杉板の勾配天井がつながる。内外連続する壁が各コーナーを緩やかに分け、空間に躍動感を生む。開口は多様な商品レイアウトを可能にするため、床面から2mの高窓とし、庇に守られた高窓からは、豊かな木々が覗く。



連続する「明治の森ダイニング」からは旧青木家那須別邸が眺められる。緑豊かな森へとつながる庇の下にはテラス席を設けた。くつろぎながら那須塩原産の食事を楽しめる。



西側には事務所や荷解室、冷蔵室、厨房などのサービス空間を集約している。様々な用途が混在する中、日々の納品が円滑におこなわれるよう、幅広く外通路を設けている。道の駅の特性上、生産者側の利用のし易さが活発な運営の源となり、運営スタッフとの日々の交流が新たな魅力を生み出していく。

用途/道の駅 場所/栃木県那須塩原市 時期/2023
第36回 マロニエ建築賞 環境にやさしい建築賞受賞